コラム

2020.11.02 [不動産登記]

権利証はいつ使われるか~大田区の司法書士事務所より・第29回コラム 

ほりぐち法務事務所 事務局の鈴木です。
朝晩冷え込む日が増えてきましたが,皆さまいかがお過ごしでしょうか。
 
 
今回は権利証がいつ使われるかについて書いていきます。
 

権利証はいつ使われるか

前回,権利証には①不動産を購入した時,購入者(買主)に発行される所有権の権利証,②不動産購入時に不動産を抵当にいれた際に発行される抵当権設定の権利証などの種類があるとお話をしました。①・②の権利証は次のような時に使われます。
 
 
 ●Bさん(買主)がAさん(売主)から不動産を購入した場合(所有権移転)
 
  Aさんは持っていた不動産の所有権をBさんに渡す(所有権の移転をする)
  必要があります。Aさんは法務局に売却する不動産の権利証を提出します。
  法務局はAさんが不動産の所有者であることを確認し,新しい権利証(Bさん
  に権利が変わった権利証)をBさん宛に作成します。この時,法務局から発行
  されるのが①の所有権の権利証になります。

 
 
 ●Bさん(買主)が不動産を担保にC銀行でローンを組んだ場合(抵当権設定)
 
  C銀行はBさんの購入した不動産に抵当権を設定する(抵当権設定の登記)
  必要があります。この時,Bさんは法務局に権利証(①の所有権の権利証)を
  提出します。法務局はBさんが不動産の所有者ということを確認し,抵当権
  設定の権利証(②の抵当権設定の権利証)をC銀行宛に作成します。作成
  された抵当権設定の権利証はC銀行がローンの返済まで所有します。

 
 
 ●BさんがC銀行にローンを完済(抵当権抹消)
 
  BさんがC銀行で借りたローンを返済し終わるとC銀行から抵当権解除証書,
  銀行からの委任状,銀行が保管していた②の権利証がBさんに渡されます。
  BさんはC銀行から受け取ったこれらの書類と登記申請書を管轄の法務局に
  提出します。抵当権抹消の際は,抵当権抹消の権利証は発行されず,抵当権
  抹消が完了したことを証明する登記完了証のみが発行されます。

 
 
抵当権を抹消したら①の権利証は不要になるか

①の権利証は,抵当権抹消後も不動産所有者の証拠になる書類のため抵当権を抹消
しても必要な書類です。

いつまで必要?と思うかもしれませんが,Bさんが所有者でなくなるまでは必要な
書類になります。権利証を手にしてから長い年月が経っていた場合,見た目も古
めかしく思わず捨ててしまいたくなるかもしれませんが大切に保管してください。

 
 
権利証をなくしてしまった場合は

万が一,権利証を紛失した場合は,資格者代理人が作成する本人確認情報の提供を
行うことで権利証の代わりとして使用することができます。(この手段は通常,
別途費用がかかります。)

他には事前通知制度という方法があります。この方法は権利証を添付せずに登記
申請し,後日法務局から登記内容が記載された書類が届きます。この書類に署名
捺印(実印)をして法務局に返送すると法務局は登記する本人であると確認し登記
申請ができます。

 
権利証は不動産を所有している人だという証明になるため,不動産の所有権をお持
の場合は捨てることのないように保管してください。
 
 
本日も,最後までお読みいただきありがとうございました。