コラム

2022.04.13

大田区の司法書士事務所より~第40回コラム 相続放棄について

ほりぐち法務事務所 事務局の鈴木です。

 

連日の様に暑い日が続いていますが,皆さま体調など崩されていませんか。

先日桜が満開になったと思ったら,夏日続きで過ごしやすい日が少しでも長く続いてほしいと願うこの頃です。

 

 

さて,本日は前回に続き相続の種類について書いていこうと思います。

 

 

「相続」と聞くと,不動産や預金などプラスの財産のことを想像されるかと思います。しかし,相続する財産の中には借金や買掛金などのマイナスの財産も含まれています。もし,マイナスの財産の方が多いまたはマイナスの財産しかなかった場合…

 

 

「相続する財産が負債のみだけど相続しなければいけないの?」

 

「どうにかして,マイナスの財産をなくすことはできないの?」

 

 

と不安になる方もいるかと思います。

 

 

今回は,そんなときに選択肢となる「相続放棄」について書いていこうと思います。

 

 

相続放棄とは

被相続人のマイナスの財産(負債)がプラスの財産(不動産,銀行預金など)よりも明らかに多いと分かっているときに選択されることが多い相続の種類です。

相続人全員の同意がないと選択できない限定承認に対して,相続放棄は相続人が単独で手続きをすることができます。

 

そのため,マイナスの財産がある方だけではなく,他の相続人との遺産分割協議を避けたい相続人に選択されることが多いです。

 

 

しかし,相続放棄をするためには気をつけなければいけないポイントがあります。

 

 

●相続放棄の注意点

 

①自身が相続人だと分かってから3ヶ月以内に相続放棄の手続きが必要

 

 この期間を熟考期間といいます。もし,この期間を過ぎてしまいそうなときは家庭裁判所に申立てをすることで期間を伸ばすことができる場合があります。

 

熟考期間が過ぎた場合でも状況や理由により,相続放棄を受け付けてもらえる場合もあります。その場合は,専門家にご相談されることをおすすめします。

 

 

②相続人が亡くなった方(被相続人)の財産を一部または全て譲渡・処分した場合は単純承認を選択したとみなされる

 

 

被相続人の死後,財産の一部または全てを処分したときは相続放棄ができなくなります。

 

また,形見分けとしてブランド品などの財産価値があるものを被相続人のお世話になった方に渡す行為も譲渡とみなされます。被相続人が所有していた財産価値のある物は全ての相続人の共有物となっているためです。

 

そのため,被相続人の持ち物は,相続放棄する可能性がある場合は特に慎重に管理する必要があります。

 

 

③財産を隠匿したら単純承認したとみなされる

 

財産の隠匿とは財産を隠すことを指し,その財産の所在がわからなくすることです。

 

たとえば,タンス預金。(タンス預金なら誰にも知られない)と思い,あえて財産目録に記載しなかったような場合,単純承認したことになり,相続放棄ができなくなります。

 

 

④相続放棄をすると撤回はできない

 

家庭裁判所で相続放棄の手続をし,承認されると撤回することができません。

 

たとえ熟考期間の3ヶ月以内でも一度相続放棄をすると基本的に取り消しを行うことはできなくなります。

 

しかし,一定の場合には取り消しができることもあります。取消しにも期限があるため,どうしても取り消しが必要な場合は専門家にご相談ください。

 

 

⑤生前に相続放棄することはできない

 

 家庭裁判所は生前の相続放棄を受け付けていません。

 

そのため,被相続人の生前に相続放棄の手続書類を作成しても法的な効力はなく,被相続人の死後に再度手続きが必要になります。

 

 

 

上記のように相続放棄には注意点がたくさんあります。

 

お世話になった親戚に亡くなった方の財産を渡してしまった。

物が多すぎたので少し片づけた。など単純承認と判断されることは避けましょう。

 

とにかく,被相続人の所有物は慎重に管理することが大切です。

 

 

●相続放棄のメリット

 

相続放棄の1番のメリットはマイナスの財産(負債)を負わなくてすむことです。

 

また,相続放棄することで遺産分割協議に参加する必要がなくなります。このことから,相続人同士の揉め事を避けるために相続放棄を希望する方もいます。

 
 

●まとめ
 

 相続放棄はプラスの財産を放棄する代わりにマイナスの財産も放棄することができます。

しかし,手続きや手続き期限など注意するポイントが多くあります。特に期限が迫っている場合などはなるべく早く専門家に相談しましょう。